敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
Side 恭介
社長に就任して3年が経った。
当初からとにかく忙しく、業績を残さねばと必死で働いていた。
休みをとったのはいつだったか、思い出せないほどだった。

プレッシャーを感じつつ、何が何でも認められたい一心で働き、無事に業績を伸ばすことができた。
3年経って、やっと落ち着いてきた。


少し余裕ができてくると、ますます欲も出てくる。
社内をもう一度見直し、テコ入れをしていこうと思った。

そう思っていると、ふと気付いたことがあった。

毎日、様々な書類に目にしているが、営業から上がってくるものの中に、たまに目を惹く特に優れた資料が入っている。
色使いやレイアウトといったことだけでなく、必要とされているものが網羅された、目にする相手をよく考えて作られていることがわかる。

気をつけて見ていると、明らかに他とは一線を画す質の良い資料が混ざっている。
おそらく、同一人物が作成しているのだろう。

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