敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】

ある時、会議後に営業の永田部長を捕まえて、あの優れた資料の製作者について尋ねた。

「ああ、それはたぶん、神崎ですね。彼女は仕事熱心で、覚えるのもとても早いんです。
彼女の作る資料なら間違いがないからと、ここぞという資料は彼女に頼む社員もいるぐらいですよ」

「そうでしたか。
もしかして、これも神崎さんの作った資料ですか？」

そう言って、ある資料を見せた。

「そうです。私が最終確認をしたので覚えています」

「やはりそうでしたか。実は、この資料がきっかけとなって、難航していた案件の契約を結ぶことができたんです」

と、契約までの経緯を話した。

「そうでしたか。それは神崎の励みになります」

「ええ、それで一度その社員と話して労いたいと思っているのですが」

「わかりました。神崎に伝えておきます」

「日時はまた、こちらこら連絡します」