敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
正直驚いた。
プロの誘いにすらなびかないとは……

何か訳があるのだろうか……


「須藤君、アピールするのは自由だけど、なかなか難しそうだぞ」

そう言って、田中さんは僕をからかった。
でも、気恥ずかしくはあったけど、なりふりかまってられないほど、彼女と彼女の演奏に魅了されていた。

だめもとで、店のオーナーに彼女と話をしたい旨を伝えたが、やはり断られてしまった。
仕方なく、自分の名刺だけおいてきた。

確認してみると、生演奏の日は予約制だという。
数日前には完売してしまうことがほとんどらしいが、たまたま明日は一席キャンセルが出たというので、迷うことなく予約した。
1か月先まで予約ができるというので、空いている日は全て予約することにした。
幸い、まだどの日も空きがあって、全て押さえることができた。
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