敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
気付かれないようにため息を吐きながら歩いていた時、自転車が横から急に飛び出してきた。

「危ない!!」

恐怖で固まっていた私を、社長がとっさに引っ張り寄せてくれた。

「大丈夫か?」

「……」


〝大丈夫〟そう言おうと思ったのに、言葉が出てこない。
そして、全身が震え出した。


「神崎さん、大丈夫か?神崎さん!!」


社長が必死に呼びかけているのが、遠くの方で聞こえる。



「ごめん……ごめんね……お姉ちゃん」



そのまま、私は意識を手放した…













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