敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】

「華、今日はやどり木の演奏以外に何か予定はある？」

「えっと……最近、羽山先生のスタジオに行ってなかったので、顔を出しに行くつもりです」

「それ、僕も一緒に行っていい？」

「えっ？恭介さんも？」

「そう。華をピアノにもう一度向かわせた人がどんな人なのか、会ってみたくて」

「いいですけど……」

「じゃあ、決まりだね。あと、その前に少し寄りたいところがあるんだ。ランチを外ですませて、そのまま行こう」

「はい」




朝食をすませて、掃除や洗濯をした。
お世話になっているからと、平日はできる範囲で私がやっていたけど、今日は恭介さんも手伝ってくれた。

「休日ぐらい、ゆっくりしてくださっていいのに……」

「いや、華と一緒なら、家事でも何でも楽しいから」

なんてあまい言葉で私を真っ赤にしては、くすくす笑いながら家事をこなしていった。


「ふーこれでよし。
恭介さん、コーヒーでもいれるので、休憩してください」

「ありがとう」