敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
12時頃になり、恭介さんに連れられて近くのカジュアルなレストランへ行った。

「恭介さん、とっても美味しいです」

「でしょ。ここはマンションから近いし、たまに来るんだ。華を連れて行きたい店がいっぱいあるんだ。これからもいっぱい付き合ってもらうからね」

「はい。いっぱい連れていってください」

なんだか、この幸せな時間がずっと続くと思うと、嬉しくてたまらない。



「ごちそうさまでした」

「さあ、華、ここからはタクシーで移動するよ」

そう言って連れて来られたのは、自分じゃ行かないような高級なお店が並ぶ一角。


「さあ、ここだよ」

足を止めたのは、いかにも高級そうなジュエリーショップ。

「き、恭介さん、ここって……」

「決まってるでしょ。婚約指輪を買うんだよ」

「で、でもそんな急に?」

「いいから。ほら、ここでもたもたしてたら、不審がられちゃうよ。中に入ろう」

半ば強引に連れられて入った店内は、洗練されていて気後れしそうだった。

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