敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「いらっしゃいませ。今日はどのような物をお探しですか?」

「婚約指輪を見せてください」

「かしこまりました。それでしてら、こちらへどうぞ」

そこで見せられたのは、どれも素敵な指輪ばかりだった。

「華、どんなのがいい?」

「どんなのと言われましても……」

値段が書いてないんだけど……

「お客様はお若いですし、大変色白でいらっしゃるので、少し色味のあるピンクゴールドなんかお似合いになりますよ」

そう言うと、数点の指輪を見せられた。

「か、かわいい……」

小さく呟いた私の言葉を、恭介さんは聞き逃さなかった。

「これが気に入ったの?
すみません。はめてみてもいいですか?」

「かまいませんよ。どうぞ」

「華、ピアノを弾くのに指輪って邪魔に感じない?」

「邪魔にはならないんですけど、あまり大きな石か出てると、私は気になってしまいます」

「じゃあ、このあたりはどう?」
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