敏腕社長は哀しき音色に恋をする 【番外編 完】
「それより華。今日はどんな色のドレスを着るの?」

「深いブルーのドレスを予定しています」

「そうか。じゃあ……」

そう呟くと、店内を移動して何やら選んでいた。



「うん。これだな。
すみません。これも見せてください。
つけてみたいんですけど」

「かしこまりました。すぐにお出ししますね」

「き、恭介さん?」

「さあ、華。つけてあげる」

店員さんが出してくれたネックレスを受け取ると、私に掲げて見せた。
シルバーのチェーンに、小振りな真珠が3粒並んでついた、かわいらしいデザインだ。

恭介さんは私の背後に回って、ささっとつけてしまった。

「うん。似合うね、
これもお願いします。つけていきたいんですけど」

「こんなにしてもらうなんて……」

「これは昨日の愛の夢のお返しだから」

何を言っても引かないだろう恭介さん。
言いたいことはあったけど、ぐっと飲み込んだ。

「ありがとうございます。でも、こんな高価なプレゼントはここまででお願いします。でないと、申し訳なくて逃げ出してしまいそうです」

「それは困るな。わかった。これ以上は控えるよ。とりあえずね」

〝とりあえず〟が気になったけど、なんとかわかってもらえたみたいだから、それ以上は何も言わなかった。

幸い、指輪は在庫があった。
恭介さんは、さっと支払いをすませると、これは特別な場所で渡したいからと、大切そうにしまった。
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