一緒にいるよ
……どうしてこうなったのか。



とある日の放課後。
校舎の裏でぐったりしていた皐月を見つけて、介抱したのがきっかけなのは覚えてる。



この学校で
素行が悪く喧嘩っ早い皐月の名前を知らない人はいなかった。


入学して僅か半年にして学校1の問題児。
要注意人物。


それが皐月だった。


生意気な態度や口調を気に入らない上級生なんてたくさんいる。

皐月はもっぱらそんな人達に呼び出されて
毎日毎日、喧嘩に明け暮れていた。


その日も何人かとやり合った直後のようだったみたいで、無駄に整った綺麗な顔や体に
至るところに痛々しい傷をつくっていた。



『……なに見てんだよ。』

『…』



自分が標的にされたり被害に遭ったり、巻き込まれるなんてたまったものじゃないと
大抵の人は皆、彼を避けていた。


私もそうだった。


常日頃から暴力沙汰を起こすような素行不良なやつなんかに関わりたくない。


火の粉を被るのなんてまっぴらごめん。


私は当たり障りのない穏やかな日々を過ごしたい。毎日平凡に平和に。


だから、自分からむざむざ厄介事に首を突っ込むつもりもなかった。



……ただ


その時の皐月の傷だらけの姿は見るに耐えないくらいひどくて。


勝手に体が動いてしまった。



『………痛みは?』

『……あ?』


傍に近付く私に皐月はすっごく嫌そうに顔をしかめていたのを覚えてる。


『……傷。痛いところある?』

『…………痛くねーよ。』

『……ここが1番ひどい。』

『……っつ。』

『ほら。やっぱり痛いくせに。』

『…………うるせーよ。』

『待ってて。動いちゃだめだよ。』
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