一緒にいるよ
保健室から救急箱を拝借して皐月の所に戻って。

皐月には最初『触るな』って
すごい剣幕で拒絶されたけど、なかば強引に手当てした。


その一件以降

前より皐月の存在を意識するようになったせいか
傷だらけの皐月を見つけることが増えて
その度に私は皐月の手当てをした。


放っておけばいいと思う反面
やっぱりその痛々しい姿は見ていられなかったから。



『……いつもいつも、飽きない?
喧嘩ばっかりで。』

『……別に。』


私と私の有無を言わせない手当てに慣れたのか、皐月は最初の頃みたいに強く嫌がったり拒否したりしなくなった。


黙って手当てをされていた皐月に問いかけると、
ぶっきらぼうな返答が返ってきた。



『そのうち退学になるよ?いいの?』

『……入りたくて入ったわけじゃない。
こんな学校。』

『…皐月、すごく頭いいんでしょ?もったいない。』



この学校は全国的にも有名な進学校だ。

入学できるのは
トップレベルの学力を持つ人だけ。


この学校で皐月の名前を知らない人はいないという理由のひとつがそれ。


皐月は俗に言う秀才。

難関だった入学試験は全科目百点満点で軽々通過。
ろくに授業に出てないのに、真面目に授業を受けてる生徒よりも成績が良かった。

一度見聞きすればどんなに難しい内容でも記憶できるという特異体質。




私も自分でそこそこ頭が良いと自負していたけど
皐月は私の比じゃないくらい遥かに頭が良かった。


高1にして、難関大学レベルの学力の持ち主。



『こんなもんがなんになる?』

『……そういう事言うから目をつけられるんだよ。』
< 3 / 24 >

この作品をシェア

pagetop