一緒にいるよ
『……努力して、この学校に入った人はたくさんいるんだよ。夢や目標のために、死ぬほど頑張って。』

『だからなんだよ。』

『皐月のその才能を羨ましく思ったり、憎く思ったりする人もたくさんいるってこと。』

『それで喧嘩売ってくるってか?
はっ、逆恨みも甚だしいな。』

『皐月の普段の態度にも問題があるって言ってるの。』



他人が喉から手が出るほど欲しいものを持っていて、なのにその本人はそれを邪魔なものだと、いらないものだと否定する。

特別な才能を与えられているのに
生かそうともせず、それどころか踏みにじるような態度ばかりとる。


努力しても限界が知れてる平凡な人間からしたら

才能が欲しくてたまらないと思う人間からしたら
それはとても腹立たしい事だ。



『知るかよ。そんなの。』

『……。』


苛立ったまま言葉を返す皐月の気持ちも分からなくはない。


才能があるから幸せなんて言えない事も理解している。それが良いことばかりを運んでくるとは限らないから。
場合によっては、悪いことを運んでくることの方が多かったりするから。


今の皐月のように。


それが重かったり煩わしくて仕方ないって思う人もいるって事も分かってる。


どちらが良いとか悪いとかじゃなくて

結局皆、ないものねだりなんだと思う。



持ってる人と持ってない人で意見がぶつかるのは仕方ないと思う。
だけど、その意見を無理矢理正当化して
相手を根っこから否定するのはだめだ。
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