Mein Schatz
「相手は十六歳のお嬢さんだ。お前と年の差はあるかもしれんが、若い方がいいだろう。子供もすぐにできるだろうし」

エヴァンは妻になる女性の写真を見る。栗色の可愛らしいショートカットの女性だ。顔立ちは幼く見える。しかし可愛らしい女性だ。

「来月の二十日に式を挙げる。その時に相手と会うから準備しておきなさい」

父親にそう言われ、エヴァンは「はい」と返事をして書斎を出た。

「……結婚か……」

ずっと覚悟をしていたことなので、エヴァンは政略結婚が嫌というわけではない。しかし、相手の女性はどうなのだろうか。エヴァンは廊下を歩きながら考える。

相手はまだ十六歳だ。まだまだ遊びたい盛りだというのに、他国の知らない男と結婚しなければならないのだ。

エヴァンの頭にリヴァイの家庭が浮かぶ。リヴァイもエヴァンと同じ政略結婚だ。リヴァイは、フォルトゥナ王国の名家のお嬢様と結婚した。

結婚式は盛大に行われ、一見すると二人は幸せそうに見えた。しかし、築かれた家庭は冷たいものだった。
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