real face
「人気ありますよね!"Many cakes"」

「うちの会長がお気に入りでね、こうして時々社員に買ってきてくれるんだよ。蘭さんも好きなの?」

「はい。この前、イベントのヘルプに行ったときにお店が近かったんで買いに行きたかったんです。でも弟が知り合いの方から偶然"Many cakes"のお菓子を頂きまして。だからケーキは初めてです!」

「ケーキは食べてないの?」

「頂いたのは焼き菓子だったので。でもすっごく美味しくて!だからケーキも食べてみたかったんです!」

「そりゃあ良かった。焼き菓子はどうかわからないけど、ケーキは絶品だよ」

「……悪かったな、焼き菓子で」

「主任、どうかしましたか?戴きましょうよ」

「そうだな。では遠慮なく、戴きます」

初めての"Many cakes"のケーキ。

「……すっごく美味しいです!」

これは、あかりたちにも食べさせてあげたいな。
今日もし時間があれば、買いに行こうかな?

「そうだろ?俺も会長の策略に嵌まったのかすっかり贔屓になってしまってね。最近の中ではイチオシかな」

「確かに美味いですけど、俺にとってはもっと上があるけどな」

「へぇ、佐伯さんのイチオシのケーキか。興味あるな。何処の店のケーキなのか教えてくれよ」

私も興味ある。
"Many cakes"よりも上だって。

「いやそれが、売り物じゃないんですよ。手作りのケーキをもらったことがあって。それがもう絶品で、アレ以上に美味いケーキって思いつかないな」

て、手作り!?
まさか、元カノ……とか。

「さすがモテる男は言う事が違うね!何気に惚気てるの?」

「勘違いしないでくださいよ。父がお礼にってもらってきたんです」

「そういうこと。親子揃ってモテるとは、吉田氏もやるじゃないか」

…………吉田氏?
思わず佐伯主任を見てしまうと、一瞬固まって目を見開いていた。

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