real face
「修……お前、もしかして最初から?」
俺たちは、根本的に間違っていたのか。
"S"作戦の本質を、見抜けなかったということなのか。
「俺も簡単には諦められなかったさ。兄貴に負けないくらい本気だったんだ。だけど、自己中な俺と違って兄貴は周りの人たちの気持ちを優先させるだろ。見てるこっちはもどかしいんだよ!」
苛立ってガタンと椅子を鳴らし立ち上がると、扉の方に向かった。
小屋を出るつもりなのか、ノブに手をかけたとき、有田さんが声を上げた。
「一弥さんが、まひろのことを大切に思ってるって……。そんなこと、私だって知ってます!!」
いつも穏やかで、のほほんとしたイメージの有田さんらしくない、妙に切羽詰まった声だった。
ノブから手を外し、ゆっくりと振り返った修。
俺も修も、有田さんから目を離せなくなってしまった。
暫くの沈黙の後、注目を浴びたままの有田さんが再び口を開き、言葉を紡ぎだした。
「一弥さんは、全て私に話してくれました。確かに一番最初は、私がまひろに似ているって思ったみたいです。それが私に興味を持った切っ掛けだったと言ってました」
「へぇ、さすが兄貴。バカ正直にそんなことを言うなんて。呆れるよまったく」
「私が入社したとき、一弥さんは経理部で私の上司でした。周りの人たちに気遣いのできる優しさを持ちながら、仕事には厳しくて。そんな彼に憧れていたんです、私」
上司としての憧れが、やがて恋心に変わっていったと話す有田さん。
「私、シャイニングに勤めて1年過ぎるまで、一弥さんとまひろがいとこ同士だって知らなかったんです。一弥さんが教事1課に異動になって、まひろのことを気にかけてたのが羨ましくて。まだ異動したばかりなのに親しげで、羨ましいの通り越して嫉妬なんかしちゃいました」
イチにぃ、やっぱり蘭さんには過保護なんだよな。
そんなんでよく有田さんと付き合えてるよな。
俺たちは、根本的に間違っていたのか。
"S"作戦の本質を、見抜けなかったということなのか。
「俺も簡単には諦められなかったさ。兄貴に負けないくらい本気だったんだ。だけど、自己中な俺と違って兄貴は周りの人たちの気持ちを優先させるだろ。見てるこっちはもどかしいんだよ!」
苛立ってガタンと椅子を鳴らし立ち上がると、扉の方に向かった。
小屋を出るつもりなのか、ノブに手をかけたとき、有田さんが声を上げた。
「一弥さんが、まひろのことを大切に思ってるって……。そんなこと、私だって知ってます!!」
いつも穏やかで、のほほんとしたイメージの有田さんらしくない、妙に切羽詰まった声だった。
ノブから手を外し、ゆっくりと振り返った修。
俺も修も、有田さんから目を離せなくなってしまった。
暫くの沈黙の後、注目を浴びたままの有田さんが再び口を開き、言葉を紡ぎだした。
「一弥さんは、全て私に話してくれました。確かに一番最初は、私がまひろに似ているって思ったみたいです。それが私に興味を持った切っ掛けだったと言ってました」
「へぇ、さすが兄貴。バカ正直にそんなことを言うなんて。呆れるよまったく」
「私が入社したとき、一弥さんは経理部で私の上司でした。周りの人たちに気遣いのできる優しさを持ちながら、仕事には厳しくて。そんな彼に憧れていたんです、私」
上司としての憧れが、やがて恋心に変わっていったと話す有田さん。
「私、シャイニングに勤めて1年過ぎるまで、一弥さんとまひろがいとこ同士だって知らなかったんです。一弥さんが教事1課に異動になって、まひろのことを気にかけてたのが羨ましくて。まだ異動したばかりなのに親しげで、羨ましいの通り越して嫉妬なんかしちゃいました」
イチにぃ、やっぱり蘭さんには過保護なんだよな。
そんなんでよく有田さんと付き合えてるよな。