real face
「マンションに着いたら俺は車で待ってるから。今夜と明日、必要なものを用意してこいよ。……女はいろいろあるんだろ?」

…………え。
それって、どういう、意味?

「お前の母さんにはちゃんと許可取ったから。今日は俺の家に連れて行く。そして、明日は1日ずっと一緒に過ごしたい。……ダメか?」

い、いつの間に、許可取ったなんて!

「もう、主任……。私の方からお願いしようと思ってたのに。明日は一緒に過ごしたいなって思ってたんです。ダメな訳ないじゃないですか!」

「あのな、明日の事もだけど……。本当にいいのか?今夜、俺の家に泊まるっていう意味、解ってんの?」

「…………………えっ?」

泊まる?
確か『俺の家に連れて行く』って言ったよね。
今夜から明日までずっと一緒ってこと…………?

それじゃ、今夜は。
主任と過ごす、初めての……!!

「よっよろしくお願い、しまっす……」

うっ、なんなのこの返事は。
力が入り過ぎてて、テンションが可笑しい。

「おっ、おう…………」

やだ、主任もなんか可笑しいよ。
ドキドキしちゃって、何を喋ったらいいのか分からない。

「聞かないのか?」

「え?菜津美を車に乗せてた事、ですか」

「……………(どうしてそのこと、知ってるんだ?)」

「……………(しまった!切り札にするんだった!)」

「あ、いや、その話は置いといて。俺がどうやって許可を取ったのか気にならないのか」

置いた!やっぱスルーするつもりなんだ!!
でも、今は置いといてもいいかも。

「もちろん気になってます。私の知らない所で、そんな話が決まってるなんて」

「母さんとあかりちゃんは今日は宮本家に泊まるんだってさ。それで、シフト無理だから丁度良かったって言ってたぞ」

そんな理由で私の外泊許してくれたって言うの、お母さん。

「それから、こんなことも言ってたな……。まひろの彼氏が、俺で良かったって」

「母が、そんなことを……?」

「もし、修やイチにぃが『まひろと本気で付き合いたい』なんて言ってきたらどうしようかと、ずっと心配していたらしい。俺は一応認めてもらえてるっぽいけど」

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