real face
私も知っていた。
お母さんが、いとこ同士で恋愛関係になるのは好ましくないと思っていることを。
だから口にしてはいけないのだ。
私がイチにぃに想いを寄せていたことも。
例え過去の思い出話だとしても……。
「お前の母さんってさ、意外と……。いや、やっぱり何でもない」
お母さんったら。
なんか余計なことを主任に言ったんじゃないかな。
気になる……気になるけど、聞かないでおいた方がいいような気もする。
だからその代わりに、私の素直な気持ちを伝えてみよう。
「私も、良かったって思ってます」
「ん?何が?」
「私の彼氏が、佐伯主任で良かったって……思ってます」
……………………。
暫しの沈黙の後、主任が「はあっ」とため息を吐いた。
「この野郎。今夜は覚悟しとけよ……」
え、どうしてそうなるの!?
私、マズイこと言ってしまったの?
「ちょっ、ちょっと待って主任!そんなの酷いですよ!だって私、初めてなのに………」
「おい!俺、いま運転中なんだぞ。分かってる?そういう動揺を誘うような事をしれっと」
「だって、主任が意地悪な事を平気な顔して言うから!だって私、初めて」
「……おいまひろ。俺の話ちゃんと聞いて」
「初めてだから、ドキドキしてるのに……主任のお宅にお邪魔するの」
一瞬、キョトンとした顔で固まった後、私をチラ見した主任。
耳が凄く赤いんですが……。
なんてこと言えるわけがない。
「そうだったな、悪かった。でも緊張しなくても、父さんは合宿中だし。今日も明日も、2人きりだから」
2人きり……!
──18:50
私の家に荷物を取りに来て、主任に待ってもらった時間は20分。
「……遅かったな」
「すみません……。でもメイク直しの最短記録ですよ」
着替えや化粧道具、そして一番大事な主任へのプレゼントも忘れずに持ってきた。
そしてメインの化粧……。
今朝厚塗りメイクだったせいか、ファンデーションを重ね塗りする手間が省けたのが幸いして、短時間でメイク直しできた。
全部落としてすっぴんの方が喜ばれる可能性高いけど、それはそれで時間かかるし、それに今夜は素顔をさらす予定、なんだし……。
お母さんが、いとこ同士で恋愛関係になるのは好ましくないと思っていることを。
だから口にしてはいけないのだ。
私がイチにぃに想いを寄せていたことも。
例え過去の思い出話だとしても……。
「お前の母さんってさ、意外と……。いや、やっぱり何でもない」
お母さんったら。
なんか余計なことを主任に言ったんじゃないかな。
気になる……気になるけど、聞かないでおいた方がいいような気もする。
だからその代わりに、私の素直な気持ちを伝えてみよう。
「私も、良かったって思ってます」
「ん?何が?」
「私の彼氏が、佐伯主任で良かったって……思ってます」
……………………。
暫しの沈黙の後、主任が「はあっ」とため息を吐いた。
「この野郎。今夜は覚悟しとけよ……」
え、どうしてそうなるの!?
私、マズイこと言ってしまったの?
「ちょっ、ちょっと待って主任!そんなの酷いですよ!だって私、初めてなのに………」
「おい!俺、いま運転中なんだぞ。分かってる?そういう動揺を誘うような事をしれっと」
「だって、主任が意地悪な事を平気な顔して言うから!だって私、初めて」
「……おいまひろ。俺の話ちゃんと聞いて」
「初めてだから、ドキドキしてるのに……主任のお宅にお邪魔するの」
一瞬、キョトンとした顔で固まった後、私をチラ見した主任。
耳が凄く赤いんですが……。
なんてこと言えるわけがない。
「そうだったな、悪かった。でも緊張しなくても、父さんは合宿中だし。今日も明日も、2人きりだから」
2人きり……!
──18:50
私の家に荷物を取りに来て、主任に待ってもらった時間は20分。
「……遅かったな」
「すみません……。でもメイク直しの最短記録ですよ」
着替えや化粧道具、そして一番大事な主任へのプレゼントも忘れずに持ってきた。
そしてメインの化粧……。
今朝厚塗りメイクだったせいか、ファンデーションを重ね塗りする手間が省けたのが幸いして、短時間でメイク直しできた。
全部落としてすっぴんの方が喜ばれる可能性高いけど、それはそれで時間かかるし、それに今夜は素顔をさらす予定、なんだし……。