real face
──23:30。

映画を観終えた今も、まだ余韻が残ってる。
とっても素敵なラブストーリーだった。

台詞だけじゃなくて、表情や仕草、視線なんかにも心情が現れていて、すごく切なくなったり、とっても幸せな気分になれたり……。

「もう涙は落ち着いた?」

「やだ、こんなに号泣しちゃうなんて。恥ずかしい……」

「今日は化粧が剥げなくて良かったな。その代わりスッピンが凄い事になってるけど」

「もう!主任!!」

せっかくの余韻が台無し!
プンプンしながら主任の胸を拳でポカポカと叩いたら、その手首を捕まえられた。

「……まひろ。もうそろそろ、いいか?」

「え、そろそろって……なんですか?」

「覚悟、できたか?」

覚悟って、あ……。

『今夜は覚悟しとけよ』

車の中で言われたことを思い出して、顔が沸騰したように急に熱くなった。

「あ、あの……私、初めてなんで」

「…………知ってる」

優しくキスされて、そのまま自然とベッドに誘われた。

「まひろ……お前の本当の姿が見たい。お前が……欲しい」

もう少しで日付が変わる頃。
いつの間にかこんなにも大好きになっていた貴方に、私のことももっともっと好きになって欲しい。

「ありのままの私を……あげる」





──24:55

「まひろ、お前メチャメチャ可愛過ぎ」

「主任は、人格変わり過ぎですよ……」

私はいつもの無愛想でぶっきらぼうな主任も、さっきのような優しくて甘い主任も、どっちも好きだけど。

「俺もいい歳して、大概だな」

はっ、そうだ!!
もう日付変わって1時間近く経ってる。

「主任、お誕生日おめでとうございます!」

「サンキュ。すっげーいいもの貰った。お前の初めての……」

「わーわーわー!!やめて、言わないで!!主任のバカァ!!」

「夜中だぞ、近所迷惑……。いや、もう既にか」

声を出せなくなって、またポカポカと叩いて抗議した。

今日、8月7日は佐伯主任の誕生日。
プレゼントはちゃんと用意してあるっていうのはまだ内緒。
今日は1日中、一緒にいてお祝いしてあげる。

「もうそろそろ寝るぞ。それともまひろがもう1回したいって言うのなら」

「おやすみなさーい!」

主任の腕に抱かれて、主任の夢を見ながら、眠りへと落ちていった……。





番外編、END

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