real face

なつみんbirthday

──5月1日。

今日はなつみんの誕生日。

みんなでお祝いしようと計画し、我が家でパーティーを開くことになった。

うちの家族はみんな、なつみんをよく知っている。

中学を卒業してから暫くの間は疎遠になっていたけど、同じ会社"シャイニング"に勤めるようになり、また昔のように距離がグッと近くなった。

一度閉ざしてしまった心の扉を、何度も何度もノックして開けさせようとしてくれた、なつみん。
私が素顔でいられるのは、家族やごく限られた親戚、そして…なつみん、この人たちの前だけ。

普段、仮面をつけて必死に闘っているからこそ、休息の時間も必要。
今日は思いっきり楽しく過ごすことで、大好きな親友であるなつみんの誕生日を祝いたい。

ただひとつ残念なのは、母がその中に居ないこと。
1週間の予定だった検査入院が、検査だけでなく治療が必要になったため1ヶ月に延期になったから…。


母の病院には午前中のうちに顔を出して、着替えなんかを届けた。

なつみんの誕生会をうちでやると報告すると
「お母さんも一緒にお祝いしたかったな!残念…。私からも『おめでとう』って言っておいてね、まひろ」
って、喜んでくれてた。

退院してからも、また遊びに来てくれるよ、なつみんなら。
だから、早くよくなって退院してね…お母さん。


──15:00。

「そろそろ来るわよ。準備いい?」

「なぁ姉貴。なつみんに彼氏ができたって本当か?」

「本当よ。だから今日、連れてくるって言ったでしょ」

「マジかよ…。なんかテンション上がらねえ…。どんなヤツか知らねえが俺は認めたくない」

「俺もだ。変なヤツ連れて来たらソッコー追い返してやる」


あーあ。
イチにぃお気の毒……。

「私は早く会ってみたいな~!なつみんにお似合いのカッコいい人だったらいいな」

あかりも新も信も、みんな大好きなんだもんね、なつみんが。


ピンポーン♪

「あたし、出る~!」

あかりが真っ先にインターホンに出て、オートロックを解除する。

「じゃみんなスタンバイ!静かにしてね!」

< 54 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop