real face
うん、我ながら上出来。
これならいつでもお嫁に行けそう……って。
だからその予定がないんだってば。

──19:45。

食事が済み、後片付けをしようと立ち上がった時のこと。

「姉貴、イチにぃから電話だったけど」

信が暫く話してたから信に掛かってきたんだと思ってたら、私?
しかももう電話切ってあるし。

「イチにぃが、なつみんと一緒に居るからって。下に車停めてあるから早く来いってさ」

「え、後片付けしなきゃだし、化粧落としちゃったし」

「イチにぃとなつみんだろ、化粧はいいから早く来いってさ。片付けなら俺がやっとくから、行ってこいよ姉貴」

なに、なんなの?
信に追いやられるように、家を出るはめになった。
素っぴんだけどなぁ……。
イチにぃとなつみん相手なら、いつものバッチリメイクの方が不自然か。
マンションのエントランスを出ると、表の道路に停まっているイチにぃの車が見えた。



イチにぃの車で、イチにぃのマンションまでやって来た。
部屋に入るなり用件を告げられる。

「さて、緊急ミーティングを始めるぞ」

「…………イチにぃの嘘つき!!」

イチにぃと一緒にいたのは、なつみんじゃなかった。

「有田さんじゃなくて悪かったな」

一緒にいたのは、佐伯主任だったのだ。

ちょっと!
いくら前にも素っぴん見られたからって、大丈夫なわけないでしょ!?
どうせこの人、覚えていないんだから!!
もう……2度もこんな辱しめを……。

「いや、いろいろ言いたいことはあるだろうけど。大事な話なんだ、まひろ」

「大事な、話?」

「昨日、叔父さんが会社に来たんだ」

叔父さん?叔父さんってまさか……。
私の、父親?

「…………………………嘘!?」

「嘘じゃない。あのな、まひろ。叔父さんうちの会社、シャイニングの顧問会計士に就任することが決まったんだ」

一体、どういうこと?

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