real face

緊急ミーティング②

『叔父さんから、10年あっちで修行して来いって言われたけど。そんなに離れるつもりはない。5年で帰ってきてみせる』

『まひろ、俺のことを従兄としてだけじゃなく、ひとりの男として見てくれないか?』

『俺、まひろを守れるような頼れる男になって帰ってくるよ。だから、待っていて欲しい』

シュウにぃから言われた言葉を少しずつ思い出していく。
私にとってシュウにぃは、従兄。
それ以上でも、それ以下でもない。
好きか嫌いかと聞かれたら、もちろん嫌いではないけど。

6年離れていて1度も会わずに来たけど、寂しいなんて思う暇もなかったと言うのが本音。
いくら商業高校に通う学生と言えども、この不景気なご時世に、就職活動が簡単に上手くいく訳じゃなかったし。
自分で決断するということは、それなりの覚悟と勇気が必要だった。
泣き言なんて言っていられなかった。

「あの、ちょっと疑問があるんですが」

佐伯主任がイチにぃに向かって言った。

「蘭先生は確か、イチにぃのお母さんと"いとこ同士"だと言いましたよね」

確かにそう、その通りだけど。

「しかし話を聞いていると、修と蘭さんが"いとこ同士"であるようにしか思えないんですが?」

そうよ、私と宮本兄弟は、紛れもない"いとこ同士"
私はイチにぃに説明してもらおうと、黙ってイチにぃを見た。
目があって、ふっと息を吐いたイチにぃが話し始める。

「俺たち兄弟と、蘭家の兄弟姉妹たちは"いとこ同士"で間違いない。つまり、俺の親父とまひろの母さんが、兄妹なんだ」

そうなのだ。
複雑な関係だから、他人には話したことがない。
親同士がいとこって聞けば、親戚とは言えど関係はそう近くはない。
しかし、親同士が兄妹と聞けば関係はより近く感じる。
それがダブルとなれば、ただのいとこよりも深い関係ということになる。


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