real face
第6話

上司であり、恋人?

緊急ミーティングのあと、イチにぃに車で家まで送ってもらった。
佐伯主任は会社に忘れ物を取りに行くと言って出ていってしまったから、私だけ。
イチにぃが住んでるマンションから会社までは歩いて5分。
会社が近くて良かったですね。

主任、私たち付き合うことになったんじゃなかったっけ?
普通なら、主任が私を家まで送るものじゃない?

まあ、主任もイチにぃの車で一緒に来たんだし、私はスッピンで電車に乗れないんだから、仕方がないんだけど。
それにしても、ねえ。

「まさか、あの翔が即答で『了解』なんて。期待以上だったな」

「ねえイチにぃ。どうしてなの?」

イチにぃが何を考えているか分からない。
佐伯主任も何を考えているか分からない。
そして私は何を考えればいいのか……。

あまりの急展開に頭がついていけなくて、私はきちんと返事が出来なかった。
上司には従った方がいいの?

「例えまひろが修一を男として見てないとしても、修一は簡単に諦めるようなヤツじゃない。多少強引な手を使ってでもまひろを自分のものにするつもりだ、きっと」

シュウにぃが私を?強引にって……。

「だから、先手を打った。修一が帰ってくるまであと2週間だ。切羽詰まって余裕がないのがカッコ悪いが仕方ない。なんせ昨日知ったことだからな」

「でも、佐伯主任はどうして、私と付き合うなんてこと。主任には彼女はいないの?」

「おい、彼女がいるのならこんな提案できるわけないだろ。ここ最近、4年くらいはいないはずだけど」

「それって本人からのリサーチ?」

「当たり前だろ!翔が自分で言ったことだ。俺に喋ったこと覚えてるのかどうかは謎だけど」

怪しい。
お酒でも飲ませて無理矢理聞き出したんじゃ……。
でも、佐伯主任って彼女いないんだ。
何故かホッとしている私。

「そう言えば、今日の翔って……」

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