real face

イチにぃの苦難①  ※宮本一弥視点

まったく、俺の気持ちも知らないで………。

──緊急ミーティングの翌日。

今日も翔とまひろはプロジェクトで忙しそうだ。
しばらくは残業らしいし、プロジェクト会議はいつもワーセクで行われているから、ラーセクにいる時間の方が少ないんじゃないか?
あの2人がいないだけで教事1課のフロアが活気が無いように感じる。
存在感、ハンパ無いな……。

「宮本課長、お疲れさまです!上村課長から、販促イベントの報告書です。ハンコもらって来いって……あれ、蘭さんいないんですか?」

「ああ迫田か、お疲れ。報告書ね……おっなかなか売り上げも好調だったようだな。やるじゃないか迫田」

「いやぁ、蘭さんと助っ人さんの力が大きかったですよ。で、蘭さんは何でいないんです?」

「蘭と佐伯はワーセクで会議中。しばらく戻って来ないぞ」

「そっかプロジェクト大詰めらしいですもんね。ところで課長、聞きたい事があるんですが。他言無用って言われてるんですけど、宮本課長ならなんか知ってるんじゃないかと思って」

他言無用なら言ったらダメだろ!
でもそう言われれば気になるな。

「なんだ?手短に頼む」

「佐伯先輩と蘭さんって、付き合ってるって本当ですか?」

「な!なんでお前が知って……」

「なんでって、ほら一昨日の朝、俺と佐伯先輩が話していたら邪魔しに来たじゃないですか、宮本課長。あの時にハッキリ言われたんですよ。『蘭さんは俺と付き合ってるから手を出すな』って」

「ま、まあ、そういうことになるかな。他言無用だぞ迫田。あ、俺ちょっと部長んトコ行かないと。またな、上村女史によろしく」

「あっっ、課長……。なんだよちぇっ」

まったく、翔のヤツ。
一昨日って言ったら、緊急ミーティングの前日じゃねぇか!
俺が付き合えって言い出す前から交際宣言して!!

そんだけお前が本気だと思っていいんだな?
ファーストキスを奪われたとはいえ、まひろのほうは正直言って気持ちが追い付いていないようだけど。

翔、もし本気でまひろに惚れたんだったら、まひろを泣かすようなことはするんじゃねぇぞ。
もしそんな事になったら、俺はお前を許さないから。

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