【B】箱庭の金糸雀 ~拗らせ御曹司の甘いぬくもり~
6.消えない刺青 - 光輝 -
『キャー』
次々とあがる叫び声。
何かがぶつかる衝撃音が周囲に飛び交い、
プーっと言うクラクションの音ともに、
グシャりと何かがぶつかる音が周囲に響いた。
そんなクラクションの耳に着く音色に眠りを妨げられるようにして夜中、
飛び起きた。
今も俺の隣のベッドには、
小さく体を丸めて眠るキサが居ることに安堵する。
彼女の右耳には今もあの日託された、ピアスと同じものが付けられいる。
そのピアスを見つめるたびにチクリと痛む心を隠すかのように、
隣で眠るキサの髪を起こさないように触れた後、
俺はそっとベットを抜け出した。
寝室のドアを開けてキッチンに向かいコップにアイスハーブティーを注ぐと、
そのままコップを手にして自室へと移動した。
システムデスクの上にコップを置いて椅子へと座ると、
無意識のうちに引き出しを開いて、小さな小箱はを開く。
赤黒い丸い玉の小さなピアス。
ハーブティーに手を伸ばして一口喉を潤すと、
深呼吸してそのピアスの上に手を翳しながら目を閉じた。