【B】箱庭の金糸雀 ~拗らせ御曹司の甘いぬくもり~
二人のアタシが、アタシの中で交差し続ける。
そんな葛藤を続けている間にゴーストは市役所の駐車場へと入っていく。
大きすぎて駐車枠に入りきらない車に運転手を残して、
アタシとアイツは二人並んで市役所の市民課へと向かう。
必要書類を提出すると
「この度はおめでとうございます。こちらで書類は受理させていただきました」っと
呆気ないほどに手続きは終了する。
この日からアタシは蒔田如月じゃなくて、三杉如月として歩き始めることになる。
アイツとの時間が嬉しいと思う自分、楽しいと思う自分。
そんなふうに思ってしまう自分の存在が許せなくて。
アタシは実感なんて得られないでいた。