【B】箱庭の金糸雀 ~拗らせ御曹司の甘いぬくもり~

12.生き急ぐ足音 - 光輝 -


依頼していた海外工場の社会情勢による操業停止問題で、
俺はすぐに日本を離れることを余儀なくされた。


向こうに着いた後も如月に連絡をこまめに入れる時間なく、
依頼していた工場で作る予定だった製品を別工場で生産出来るようにと奔走していた。


「光輝様、こちらの工場での試作品です」っと、
作っては試作を持ってくる工場長。


それを隅々まで確認しては、指示を出して改善点を伝えて、
再び試作を持ってきてもらう。


そんな繰り返し。


「有難う。

 後は、皆さんにはかなり負担をかけてしまうと思いますが、
 こちらの製品を引き続き、納品数に達するまで宜しくお願いします。
 向こうの工場に移動して、再度、必要数を連絡します」



操業停止となっている工場と同じクオリティーとなるまで、
寝る間も惜しんでひたすら詰めた俺は、
工場長に声をかけて現場を後にした。



空港へ向かう社内、溜息を一つ吐き出してスマホの電源を入れた。


着信アリ。
日本からの再三の電話気が付くのに時間がかかってしまった。

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