【B】箱庭の金糸雀 ~拗らせ御曹司の甘いぬくもり~
20.永遠の約束~君を笑顔を守るから~ - 光輝 -
12月まであと数日に迫ったその日は、
俺たち二人の門出を祝福してくれるような、
真っ青な空だった。
「旦那様、奥様、お出掛けのお時間でございます」
そう言って三橋の言葉でマンションを送り出された俺たち。
「三橋、また後でね。
式場で待ってるから。ちゃんとアタシのウェディングドレス姿見てね」
如月はそう言って、
三橋と言葉を交わすと俺の方に視線を向ける。
「行こうか」
そう言うと彼女は俺の腕に自分の腕を絡めるようにして、
ぴったりと隣を歩き出した。
「おはようございます。
本日はおめでとうございます。
光輝さま、如月さま」
「おはよう。聖仁、今日も一日頼む」
「ありがとうございます。
今日も宜しくお願いします」
聖仁と言葉を交わすと車に乗り込む。
静かにドアが閉じられると、
流れるように車は動き出した。
「やっぱりいいなぁー。車」
ふと車窓から眺める景色を見ながら如月は呟く。
「車、好きなの?」
「車は好き。
だけど都会じゃ維持費が高いでしょ。
駐車場代とか維持費を考えたら、
電車やバスの公共機関を使う方が安いからさ。
運転免許は持ってるけど、ペ-パードライバー。
だけど……いつかは、
ちゃんと自分の車を手に入れて運転したいんだ。
光輝は運転しないの?」
そう言って如月は不思議そうに俺を見つめた。
「運転はしない」
「やっぱり家柄とかで、
運転しちゃダメ―っとかあるの?」
如月の表情は、すぐに曇っていく。
「あぁ、言い方を変えよう。
運転は出来ない。
俺は免許を持ってないから。
ただ竣佑は免許を持っているし父も運転は出来る。
だから一族とか家柄は関係ないよ。
だから如月も車に乗りたければ乗ればいい」
「光輝は、どうして車の免許を取らなかったの?」
取らなかったの?っと問われれば、
取る必要がなかったと答えるほかはない。
俺の周囲には、
いつも行動を共にする聖仁が居て世話好きの真梛斗が居て……
二人と一綺と裕真が持っていたら必要ないだろ。