ディモルフォセカの涙

「キャーッ、痛い!」

「イタイッ、イタイ!何これ
 痛すぎだよ」


 その場で足をジタバタさせている姿をお互いに見ては、「何してるの」「おかしいよ」と言い合って私達は笑い合う。そして、寒空の下、腕を組んで体を寄せ合って歩く。もっともっと近くに寄り寒さをしのぐ。

 今以上、もっともっと近くに……


「今日は、私の家に一緒に帰ろう」

「うん」

「ユウ、一緒に帰るは
 泊まるだけど、それでいい?」

「うん、いいよ

 そうだ、帰りにコンビニ寄ってほしい」

「オッケー」


 わたしの帰る場所は、あなたの居る場所----


「寒すぎだよ、まったく!」


 実花さんは帰宅すると真っ先にエアコンのスイッチを入れた。何度と訪れたことのある実花さんの家は、やっぱりピンク色が占める割合が多い。

 買い物してきた荷物をソファーに置いた実花さんは、上着を脱ぐとキッチンへ行き冷蔵庫の扉を開けて食材を確認する。


「今日の晩御飯、パスタでいい?
 確か、ベーコンがあったはず
 チーズもあるなら、グラタンでも
 いいよ」

「わたしはどっちでも」

「じゃあ、今日はパスタで

 でも、まだいいよね」


 ケーキを食べた私のお腹は、まだいっぱいだ。----私は、自分の荷物を部屋の角、隅っこにまとめて置いた。脱いだ上着もその上に置く。


「だよね

 じゃあ、先にお風呂にするね

 ユウ、入るでしょう?」

「うん」
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