ディモルフォセカの涙
コインパーキングを抜けて向こう側の道へと仲良さそうに歩いて行く二人の姿を、ただ見つめるだけの私。
『カナタ』----確かにそう呼んだ声は、とても可愛い声だった。
ユウと言う名の、男の子みたいな女の子が、カナタさんの彼女!
彼女と、ここで待ち合わせしてたんだ。カナタさんの彼女、どんな子か気になる。
偶然を装ってここに来れば、彼女は必ず現れる。
ほらっ、彼女は必ず現れた。
そして、カナタさん貴方も……
私は今日も待ってる----ユウさんが待たなくなった薄暗いこの場所で、貴方のことを。
するとほらっ、貴方はいつものように現れて、私の名を呼ぶことはなく代わりにとても嫌そうな顔をする。
ライブの後、いつものように貴方がここへ来る事は分かっている。もしかしたら、愛するあの子がここに来ているかもしれないから。
「カッ……」----名を呼ぼうとしたその時、彼は私の脇をサッと通り過ぎて知らぬふりをして一台も車が停まっていないパーキングを抜けてゆく。歩む足は速く、ヒールを履く私の足では追いつけない。
「待って
待ってよ……」
カナタさんの後を追えない私の腕に触れる人、男性の声が聞こえた。
「あの、こんな暗い所に女の人が
一人で居ちゃ危ないですよ」
『カナタ』----確かにそう呼んだ声は、とても可愛い声だった。
ユウと言う名の、男の子みたいな女の子が、カナタさんの彼女!
彼女と、ここで待ち合わせしてたんだ。カナタさんの彼女、どんな子か気になる。
偶然を装ってここに来れば、彼女は必ず現れる。
ほらっ、彼女は必ず現れた。
そして、カナタさん貴方も……
私は今日も待ってる----ユウさんが待たなくなった薄暗いこの場所で、貴方のことを。
するとほらっ、貴方はいつものように現れて、私の名を呼ぶことはなく代わりにとても嫌そうな顔をする。
ライブの後、いつものように貴方がここへ来る事は分かっている。もしかしたら、愛するあの子がここに来ているかもしれないから。
「カッ……」----名を呼ぼうとしたその時、彼は私の脇をサッと通り過ぎて知らぬふりをして一台も車が停まっていないパーキングを抜けてゆく。歩む足は速く、ヒールを履く私の足では追いつけない。
「待って
待ってよ……」
カナタさんの後を追えない私の腕に触れる人、男性の声が聞こえた。
「あの、こんな暗い所に女の人が
一人で居ちゃ危ないですよ」