ディモルフォセカの涙
そう、私はマナちゃんや他の生徒達に、ユウさんもこの音楽教室の一員なのだという事を伝え、紹介誌に写真が掲載されることも、教室の公式サイトやソーシャルネットワーク(SNS)に、それとなくユウさんが行事に参加していることや教室に顔を出していることを書く事を許した。
初めこそ躊躇していた生徒達も、次第にユウさんと親しいことを自慢したくなる。
「だけど、それは嘘じゃないわ
ここへ来ているのはユウさんの
意思であって、私達は望んでない」
「君ってヤツは、よくもまあ平然と
そんなことが言えるな
こんなにも大事になって
恋人であるあの子に何かあれば
君だって気が気じゃ……
でもその代わりに得たものもあるって
わけか?」
「得たもの?」
「ああ、そうだ
俺に生徒が増えるから教室の講師に
戻って来いと言ったのも
彼女と交流があるこの音楽教室に
彼女狙いの生徒が増えることは必然
君が彼女を利用しない手はない」
「まあ、そう思うならそれでいいんじゃない
ご勝手にどうぞ
今日中にココ片づけたいのよ、私
だから、無駄話してる暇はないわ
帰ってちょうだい!」