ディモルフォセカの涙
「以心伝心だね、私たち?」
「何言ってる」
「丁度よかった
私も貴方に聞きたいことがあるの」
本当は貴方の口からその事実を聞きたくなんてないけど、聞かなきゃ前には進めない。
私達に、接点はない。
ううん、私達には、それ以上の繋がりがあるね。
----タクシーに乗車した私達の姿を遠くで、彼女が見ていたことを私達は知らない。
タクシーの中----私の隣に座るカナタさんは、窓の外を流れる景色を見つめながら問いかける。
「どういうつもりだ
君とユウは付き合ってるんだろう
それなのに、なぜユウを守らない?」
「私は……」
「あんなにもバレバレな小細工
知らなかったとは言わせない
情報を見てあそこに集まった奴ら皆
あれは君たちの誘導によるもので
策略だってことは分かる
騒ぎにユウを巻き込んで
おまえはどうしたい?」
----夜の街を走る、タクシーに揺られていると、どんどんどんどん眠たくなってきた。
「おいっ、聞いてるのか?」
「……
好きと言わないの?」
貴方の声に被る、私の声
「他人なのに、好きと言わないの?」----私の問いかけは、貴方を黙らせた。