ディモルフォセカの涙
 口下手な私の話なんて聞いても、面白いことなんて何ひとつない!----面白いことを話せと言われている訳じゃないけど、話すならみんなが笑ってくれる方がいいような気がして……私には絶対に無理だ。

 頭の中でいろいろ考えて自分で自分を苦しめちゃってる、いつもの私----


「ではまず、三枚目のシングルとなります
 今回の楽曲はどのような曲ですか?」

「曲調はポップな……恋の歌です」

「恋の歌、よろしいですねぇ

 恋の歌と言われましても様々ございます
 片思い中に恋愛中、今回は主にどのような曲ですか?」

「明るく恋してる想いを書いた作品です」

「恋、ユウさんは今そんな恋なされてますか?」


 何という質問を!

 そんな恋----明るく恋してる想いを私は知らない。私の知る恋は一方通行の恋、あきらめた恋、叶わぬ恋。


「いえっ、男性は苦手で、女系家族なので」

「女系家族と言われますと?」

「いとこ6人いるうちの1人しか男の子がいなくて
 後は父に伯父達以外はみんな女性ばかり
 男性には免疫がありません
 
 中学高校と女学校にも通っていましたし……」


 私ってば何を言ってるんだ!

 関係のない話をペラペラと話してしまって、もはや、これはパニック状態。


「そうだったんですか」

「嘘っぽいですよね

 恋愛したことないのに恋の歌を作るだなんて……」
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