ディモルフォセカの涙
『息子のカナタ君よ

 ……

 次は、よっちゃんちの姉妹
 ベニちゃんにユウちゃんね

 女の子ばっかりで驚いたでしょう?
 みんな親戚のおうちの子よ

 みんな仲良くしてね』


 家族(親戚)である僕らが愛し合うのはやっぱりおかしい


 それは、たぶん

 罪、と言える----


 気に入っている物で溢れる、俺の住処

 気に入っているベッドカバーの上に横たわる、俺の一番好きなもの。


 ユウ----


 なされない口づけを待つユウの目が開いた。

 抱きしめる力を緩めたことがユウに伝わったのか、ユウは俺の体が離れないようにしがみつき、ギュッと俺を縛る。

 その腕から逃れ、ベッドに腰かけた俺はギターに触れた。


「カナ……」

「弾いてやるよ、ギター

 好きなんでしょ、俺のギター?」


 俺の隣に座ったユウは言う。


「うん、好きだよ

 好きじゃなきゃ習わないよ

 スパルタ教師に……」


 抱き合うことをやめた俺の仕打ちに、ひどく傷ついているであろうユウの顔を見れない俺は、ずっと放置してあったギターの弦を見つめる。

 張り替えはもちろんのこと、チューニングもあってないギターをこの手に持つ俺----


「それじゃ、弾けない?」

「ユウ、悪い」


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