ディモルフォセカの涙
白い用紙を手に持ち、慌てた様子で建物から出て来た女性。
「ミカさん……」
偶然、この場所に居合わせたのは実花さんだった。実花さんはとても心配そうに私のことを見た。----あっ、泣き顔を見られてしまった!私は、掌で慌てて両頬を拭った。
「うそ、あのユウ?」
私の存在を知って興奮中の彼女、私を見つめる少女の目がキラキラと輝きだす。そんな彼女は、小さな体にギターケースを背負っていた。
「うそでしょう……」
放心状態の彼女に、実花さんはにっこり微笑んで言う。
「嘘じゃないよ
マナちゃん
確かユウさんのファンよね
ほら、握手、お願いしてみたら」
「えっあっ、握手、いいですか?」
「うん、いいよ」
私が差し出した右手に、両手で触れる彼女の手は微かに震えていて、その震えが私の体を伝いこの胸まで届いて、私はとても幸せな気持ちでいっぱいになる。
「応援しています!大好きです」
「ありがとう」
「これからも頑張ってください」
「ほらっ、マナちゃん電車の時間
急いでるんでしょう
そうだ、このことはご両親以外
誰にも話しちゃダメよ」
「はい、誰にも言いません」
彼女は頭を下げてこの場を去ったが、名残惜しそうに何度とこちら側を振り返る。そして今、駅へと消えて行った。
「ミカさん……」
偶然、この場所に居合わせたのは実花さんだった。実花さんはとても心配そうに私のことを見た。----あっ、泣き顔を見られてしまった!私は、掌で慌てて両頬を拭った。
「うそ、あのユウ?」
私の存在を知って興奮中の彼女、私を見つめる少女の目がキラキラと輝きだす。そんな彼女は、小さな体にギターケースを背負っていた。
「うそでしょう……」
放心状態の彼女に、実花さんはにっこり微笑んで言う。
「嘘じゃないよ
マナちゃん
確かユウさんのファンよね
ほら、握手、お願いしてみたら」
「えっあっ、握手、いいですか?」
「うん、いいよ」
私が差し出した右手に、両手で触れる彼女の手は微かに震えていて、その震えが私の体を伝いこの胸まで届いて、私はとても幸せな気持ちでいっぱいになる。
「応援しています!大好きです」
「ありがとう」
「これからも頑張ってください」
「ほらっ、マナちゃん電車の時間
急いでるんでしょう
そうだ、このことはご両親以外
誰にも話しちゃダメよ」
「はい、誰にも言いません」
彼女は頭を下げてこの場を去ったが、名残惜しそうに何度とこちら側を振り返る。そして今、駅へと消えて行った。