ディモルフォセカの涙
「驚いたでしょう?
私、女の子とも恋愛できるんだぁ
だから、もう一度言うね
私、ユウさんのことが好きなの
ファンだとか憧れだとか
そういうの飛び越えて
あなたと恋愛したいな
あ~、大切な告白
こんな路地でしちゃったじゃん」
恥ずかしそうな実花さんの頬が赤らむ。
「告白?」
「そう
だけど、重く取らないでね
今はまだ付き合えるだなんて
少しも思ってないから
友達で大満足です」
今はまだ----
「ミカさん、あなたは
カナタのこと……」
「まだ言ってるの、違うよ
……
さあ、さっきのは
忘れて忘れて
ほらっ、お店、あそこよ」
実花さんが指差した場所はギラギラと照明が輝きとても明るく、さっきまでの雰囲気をぶった切る賑やかさ。ガヤガヤと店内もさぞ騒がしいのかと思えば、大人の雰囲気たっぷりのエレガントな空間が広がり、とても趣がある。
そこに現れたのは、年配の男性。白髪に髭で強面、近寄りがたい雰囲気を醸し出すその人はこの店の主人だろうか、私達に近づき実花さんに温かみのある笑みを向ける。その微笑みは私の緊張を一度に解いた。
「久しぶりだね、お嬢
いつもの部屋、使っていいよ」
「ありがとう」