ディモルフォセカの涙
手作りウサギ
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今のわたしに見えるもの----そう、それは、この微笑み。
音楽教室の前に立つと同時に開かれる扉。驚く私の顔を覗き込んで実花さんはとても嬉しそうに微笑む。そして、彼女は窓の方を指差してみせた。
「ユウさんが来るのが見えたから
待ってたの、びっくりした?」
「うん、とっても」
「ふふっ
それは、お土産?」
次に実花さんは、私が持っている袋を指差した。透明の手提げ袋から透ける茶色の紙袋。その中には彼女の好きなドーナッツ。
「そう、一緒に食べようと思って」
「マナちゃん、休憩にしようか」
「えっ⁉」
いつものように、私と実花さん以外は誰もいないと思っていた教室にいつかの中学生、そう、マナちゃんの姿があった。
「ごめんなさい、レッスン中に
わたし、来るの早かったかな?」
「ううん、いいのいいの
マナちゃんがユウさんに
会いたいだろうな、と思って
あっ、ダメだった?」
実花さんの否定的な言葉に、マナちゃんの顔色が変わるのが見て取れた私は、彼女に優しく声をかけた。
「ううん、私はいいよ
マナちゃん、どうも」
「ユウ、ユウさん、いらっしゃい」
一度会ったことがあるとは言え、緊張気味のマナちゃん。
「マナちゃん、ユウでいいよ」
「ユウさん、それは駄目だよ!
そこはちゃんとしておかなくちゃ
……」
今のわたしに見えるもの----そう、それは、この微笑み。
音楽教室の前に立つと同時に開かれる扉。驚く私の顔を覗き込んで実花さんはとても嬉しそうに微笑む。そして、彼女は窓の方を指差してみせた。
「ユウさんが来るのが見えたから
待ってたの、びっくりした?」
「うん、とっても」
「ふふっ
それは、お土産?」
次に実花さんは、私が持っている袋を指差した。透明の手提げ袋から透ける茶色の紙袋。その中には彼女の好きなドーナッツ。
「そう、一緒に食べようと思って」
「マナちゃん、休憩にしようか」
「えっ⁉」
いつものように、私と実花さん以外は誰もいないと思っていた教室にいつかの中学生、そう、マナちゃんの姿があった。
「ごめんなさい、レッスン中に
わたし、来るの早かったかな?」
「ううん、いいのいいの
マナちゃんがユウさんに
会いたいだろうな、と思って
あっ、ダメだった?」
実花さんの否定的な言葉に、マナちゃんの顔色が変わるのが見て取れた私は、彼女に優しく声をかけた。
「ううん、私はいいよ
マナちゃん、どうも」
「ユウ、ユウさん、いらっしゃい」
一度会ったことがあるとは言え、緊張気味のマナちゃん。
「マナちゃん、ユウでいいよ」
「ユウさん、それは駄目だよ!
そこはちゃんとしておかなくちゃ
……」