ディモルフォセカの涙
実花さんはテキパキと教室の片づけをしてゆく。私は、「お代わり、どうぞ」との実花さんの言葉に甘えて美味しい紅茶を頂いている。
一口、二口と飲み進める、その時----窓から冷たい風が室内へと流れ、長机の上に置かれた教室の宣伝リーフレットを数枚飛ばした。
「あらら」
バタンと窓を閉める音が静寂を破ると、実花さんは床に落ちたリーフレットを拾った。
私も足元に落ちているリーフレットを拾い、何気なく目をやるとそこには、音楽教室の代表者である実花さんのお父さんの写真が掲載されていた。キリッとした瞳が実花さんにとても似ている。
「ユウ
ねえ、ユウ、どうかした?」
「ううん、ミカとお父さん
目元が似てるなぁと思って」
「ああ、よく言われる
こんなにキツイかな、私の目?」
実花さんは、リーフレットに載った自分の父親の写真を見ている。
「ぜんぜん、キツクないよ
キリッとしてるんだよ」
「それがキツイってことじゃない?」
「そう、かもしれない」
「もう!ユウったら」
「うそうそ
とっても綺麗な目だよ、憧れる」
「またまたぁ、ユウの目の方が
くっきり二重でいいよ」
「寝起きは三重になってる時
あるよ、しわしわで嫌だよ」
「それって贅沢」
私達は、笑い合うのだった。----それにしても、実花さんのお父さんは年齢不詳な人だな。私の父よりもだいぶんと若くみえる。
一口、二口と飲み進める、その時----窓から冷たい風が室内へと流れ、長机の上に置かれた教室の宣伝リーフレットを数枚飛ばした。
「あらら」
バタンと窓を閉める音が静寂を破ると、実花さんは床に落ちたリーフレットを拾った。
私も足元に落ちているリーフレットを拾い、何気なく目をやるとそこには、音楽教室の代表者である実花さんのお父さんの写真が掲載されていた。キリッとした瞳が実花さんにとても似ている。
「ユウ
ねえ、ユウ、どうかした?」
「ううん、ミカとお父さん
目元が似てるなぁと思って」
「ああ、よく言われる
こんなにキツイかな、私の目?」
実花さんは、リーフレットに載った自分の父親の写真を見ている。
「ぜんぜん、キツクないよ
キリッとしてるんだよ」
「それがキツイってことじゃない?」
「そう、かもしれない」
「もう!ユウったら」
「うそうそ
とっても綺麗な目だよ、憧れる」
「またまたぁ、ユウの目の方が
くっきり二重でいいよ」
「寝起きは三重になってる時
あるよ、しわしわで嫌だよ」
「それって贅沢」
私達は、笑い合うのだった。----それにしても、実花さんのお父さんは年齢不詳な人だな。私の父よりもだいぶんと若くみえる。