【番外編】ないじつコンブリオ
今日も絶対、負けてやらない。
また昼のお弁当の時間が廻ってきた。
牛乳係である自分は、全ての机に牛乳を並べる。
体育祭の練習の時に、自分の足の遅さを見て「牛さん」と水川が自分に名付けた。
それから「牛」つながりで、牛乳係の推薦を水川からされたのだ。
これもまた、非常に不愉快なことだ。
牛乳を配り終え、自分の席に着くとほぼ同時に、水川がこちらを振り返る。
こいつの表情を睨んでは、いつか仕返しをかましてやりたい、と切に願う。
気にせず、お母さんの作ってくれた弁当を開く。
今日の始めも、白ご飯から手をつけた。
それを口へ運ぼうとすると、突然に手首を掴まれた。
あまりに驚いて、箸で持っていたご飯が零れる。
「おぉい、何落としとるや。食ったろうと思ったのに」
気持ち悪い。
本当に、何のためにこいつは、自分なんかに構うんだ。
未だ自分の手首をきつく握っている奴の手を、何とかして逃げ出す。
気分の悪さと闘いながら、無視を続けた。
無視を続けたかったが、その集中も無茶苦茶にして壊される。
「仕様がねぇなぁ。俺のやるよ」