【番外編】ないじつコンブリオ
誰も気づきそうにもないような、小さな小さな嘘。
自分は先輩をじっと、見つめた。
「実は、全く驚いていませんでしたよ。だって、先輩が結婚したって、驚きません」
「え」
こんな賑やかで、他人にだけ優しい人の隣に、誰も居ないという事実の方が、驚きだ。
少なからずとも、ショックを受けるだろう。
けれども、それは自分には無意味で、何の実もつけない。
この人のことは、好き。
でも、それは「上司」として憧れている、ということ。
いい頃加減、割り切らなければならない。
そうでもしないと、うやむやなままの方が、先輩に失礼だから。
それなのに。
何時でも思って居るはずなのに、未だに出来ずに居る。
しっかり向き合った顔を、お互いに眺めながら、それぞれ何かを思っているのだろう。
先輩は未だに、固まっていた。
心持ち、先輩の眉が下がっている、かもしれない。
「角野先輩なら素敵な人が、絶対に現れますから」
慰めでも何でもなく、本当に思っている。
意外にもこんなに紳士で、真摯な人に惹かれない人なんて、きっと居ない。
それどころか既に、誰かに狙われてるかも。
自分は、そんなどう仕様も無いことを考えていた。
自分が言ったことに対して、何故か先輩がにやける。
自分は先輩をじっと、見つめた。
「実は、全く驚いていませんでしたよ。だって、先輩が結婚したって、驚きません」
「え」
こんな賑やかで、他人にだけ優しい人の隣に、誰も居ないという事実の方が、驚きだ。
少なからずとも、ショックを受けるだろう。
けれども、それは自分には無意味で、何の実もつけない。
この人のことは、好き。
でも、それは「上司」として憧れている、ということ。
いい頃加減、割り切らなければならない。
そうでもしないと、うやむやなままの方が、先輩に失礼だから。
それなのに。
何時でも思って居るはずなのに、未だに出来ずに居る。
しっかり向き合った顔を、お互いに眺めながら、それぞれ何かを思っているのだろう。
先輩は未だに、固まっていた。
心持ち、先輩の眉が下がっている、かもしれない。
「角野先輩なら素敵な人が、絶対に現れますから」
慰めでも何でもなく、本当に思っている。
意外にもこんなに紳士で、真摯な人に惹かれない人なんて、きっと居ない。
それどころか既に、誰かに狙われてるかも。
自分は、そんなどう仕様も無いことを考えていた。
自分が言ったことに対して、何故か先輩がにやける。