【番外編】ないじつコンブリオ
無駄にプリプリと怒りながら、去っていく義理の姉を、ハナは目だけで追いました。
そして、いつもお決まりの舌打ちを一つ、かましてやります。
ハナはこんな毎日に、うんざりしていました。
しかし、掃除などの家事を、必死にこなしていきました。
そんなある日。
街で一番大きなお城で行われる、舞踏会の案内状が届きました。
しかも、それはただの舞踏会ではなかったのです。
王子のお嫁さんに、相応しい女性を探す、というものでした。
義理の姉 ミズカワとその母親は、張り切りました。
ハナは、自分には縁のない話だ、と諦めていたのです。
しかし、そんなハナの様子を見た父親は、ハナに立派なドレスをプレゼントしてくれました。
「王子様はきっと、ハナのことを気に入ってくださるに」
「で、でも、お父さん。こんな高価なもの受けとれやんよ」
「ええから。ものは試しや。一度、行っておいで」
ハナは、優しく微笑む父親からの贈り物を、断りきることができませんでした。
普段、貯金ばかりしている父親に、こんなにも高価なものを買わせてしまったことに、罪悪感を感じていました。