【番外編】ないじつコンブリオ
ようやくお城に到着することができました。
お城の扉をそっと開くと、先程まで盛り上がっていたであろう場内は、しーんと静まり返りました。
「わわ、嫌な感じ……自分のことなんて気にせず、舞踏会を楽しめばいいのに」
ハナは過去に行っていた学校で、教室の扉を開けたときの感覚を思い出していたのです。
続いて、ゆっくりと中に入り、隅の方へ歩いていこうとしました。
しかし、慣れないヒールのせいで、転んでしまいます。
「大丈夫ですか?」
すると、偶然ハナの近くに居た警備中の兵隊さんが、ハナに片膝をつき、手を差しのべました。
ハナは、さらに注目の的です。
ただでさえ、場違いな自分を恥ずかしく思ったハナは、慌ててその場に立ち上がりました。
「だ、大丈夫です!お気持ちだけで……ありがとうございます」
お辞儀をした後、逃げるように去っていくハナの背中を、兵隊さんはただ見つめていました。