【番外編】ないじつコンブリオ
再び、賑わい出した会場で、ハナは困っていました。
このような大きなパーティーに来たことなど、一度もありません。
何をすれば良いのか、わからずに居たのです。
とりあえず、目前のテーブルにある、卯の花の料理を食べていました。
「なんや、別嬪さんは、なかなか渋いもんを食べるんやなぁ」
ハナは、隣から突然かかった声の方を向きました。
その声の主を知り、ハナは驚きを隠せませんでした。
なんと、このパーティーの主役、王子様だったのです。
「お嬢さん、俺と踊ってくれません?」
そう言った王子様は、ハナの返事も聞かずに、手を引いていました。
「あ、あの!自分、ダンスなんて踊れない……」
王子様は、ハナの腰をぐいっと引き寄せ、微笑んだのです。
「ええよ。俺に任せて」
ハナの緊張は、いつまでも解けることはなく、ずっと体を強張らせてばかり居ました。
周囲に注目されることが、堪らなく恥ずかしかったので、ハナはぐっと目を瞑っていました。
そのせいで、何度もヒールで王子様の足を踏んでばかりいました。
それでも、王子様は怒らず、呆れずに微笑み、踊り続けてくれます。
そんな王子様の何処か慣れない表情に、ハナは体を心をずっと強張らせて居たのです。