【番外編】ないじつコンブリオ
次の日、言葉通りに、2段弁当が1段に変わっていた。
それを見た水川が、また茶々を入れる。
「そんなんで足りるんかー?足りやんやろ。もっと肉つけろや!」
そして、盛り上がる自分の近辺。
自分が食べられないのは、量のせいでも、お母さんの味のせいでも、決してない。
こいつらにじっとり監視されて、胸くそが悪いから。
奴らの視線を極力、無い物のように扱う努力をした。
自分は、綺麗に並べられたおかずや白ご飯を、じっと見つめる。
未だにこいつらに見られていると、少し吐き気がする。
食べたいのに、食べられない。
今朝、笑顔で渡してくれたお母さんが、頭に浮かんだ。
残ったお弁当を部活の前に、美術室前の廊下で平らげるのが、自然と日課となった。