【番外編】ないじつコンブリオ
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それでも、部活が休みの日には、そのまま弁当を持って帰ってしまう。

また減っていない弁当箱の中味を眺めたお母さんは、控え目に笑ってこう言った。



「いっそのこと、弁当、無しにしたろうか……!」



きっとお母さんも冗談で、言っているんだろう。

笑ったままで、自分のツッコミのような反論を待っている。



「うん。そうしてほしい」



自分がそう言えば、お母さんは固まった。



「何でなん?ちゃんと昼ぐらい食べやな……」

「食べれやんもん」

「ちゃんと食べやな、力出やんよ」

「うん。でも、食べれやんもん」



しばらく静かな言い合いを続けるも、お母さんが先に折れる。

その表情は、寂しそうに見えた。

それが、また自分に罪悪感を感じさせる。



「とりあえず、昼はちょっとくらい、食べやなあかんよ」



そう一言言ったお母さんは、話題を変える。

ご近所の井戸端会議の話や、おじいちゃんの今日の病院の話やら。

これ以降、弁当の話題に触れることはなくなった。
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