花言葉が人をつなぐ
さよならとラベンダー
それは、美しい青空が広がった春の日のこと。

金色の美しい髪に紫の目、人形のような白い肌の少女は、野原に座って本を読んでいた。野原にはたくさんのスミレの花が咲いている。

少女は、ワインレッドのリボンを首もとで結び、レースのたくさんついた可愛らしいドレスワンピースを着ている。誰が見ても、裕福な家のお嬢様だと思うだろう。

少女は、まるで人形のような容姿をしている。その美しさに人々はいつも見とれるのだ。しかし、その少女はにこりと笑うこともない。いつも無表情で、人と関わろうとしない。

そんな彼女のことを、人々は「哀れな人形」だと言った。そして、見つめるだけで誰も近付こうとしなかった。

少女は、そんなことなど気にせずに本のページをめくる。ふわりと吹いた春風が、少女の髪を編み込んでいるリボンを揺らした。

「あっ!待って、ダメだよ!!」

数メートルほど離れた場所から、少年の声が聞こえてくる。少女は気にすることなくページをめくる。声をする方を見ることも、表情を変えることもない。

ドンッ!

衝撃が走った刹那、少女は草の中へ倒れる。温かくてふわふわしたものが触れ、少女は紫の両目を開けた。
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