花言葉が人をつなぐ

恥じらいとバラ

ヴァイオレットの相談所には、様々な人が今日も訪れる。自分から相談所に足を運ぶ人、他人に薦められて来た人、そして他人に連れて来られた人ーーー。

「おい！！放せっての！！」

ブレザーをだらしなく着こなす茶髪の男子生徒が、教師数名に押さえつけられながら相談所にやって来る。

「ヴァイオレット先生、依頼した者です」

疲れたような表情の壮年の男性教師が言った。ヴァイオレットは依頼されて話を聞くこともことも少なくない。

「お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ」

今回話を聴く相手は教師が手をつけられないほどの問題児ということで、相談所は貸し切り状態となっている。他の相談者に危害が加えられる可能性がある、と学校側から言われたからだ。

「サルビア高等学校の二年生、パーシー・ハリソンさんですか？」

ヴァイオレットは優しく微笑み、教師に取り押さえられながらも暴れようともがく男子生徒に声をかける。

「うるっせえ。誰でもいいだろ、クソが」