花言葉が人をつなぐ
「おはようございます、どうかされました?」

ヴァイオレットは微笑み、優しく声をかける。女性は「ひゃっ!」と小さく驚いた後、ヴァイオレットから目をそらしながら言った。

「私、友達のことで相談したくて来たんです」

ヴァイオレットは優しく微笑んだまま言う。

「では、中にお入りください」

そう言い、ヴァイオレットはドアの鍵を開けた。



ヴァイオレットは、女性を相談室へと連れて行く。ラベンダーのアロマの香りがする落ち着いた部屋だ。

「そこにお掛けください。今お茶をお持ちします」

ヴァイオレットは女性に柔らかな椅子を勧め、ペチュニアを花瓶に丁寧に入れる。そして、ハーブティーを入れて女性に出した。

「あ、ありがとうございます……」

女性はハーブティーを一口飲み、大きくため息をつく。今日の一番最初の相談者。ヴァイオレットはいつ女性が話し始めてもいいように、自身の心をヴァイオレット・ヘーデルヴァーリから目の前の女性のものになるよう空っぽにする。
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