セカンドラブは魔法の味
3
幸弥が遅くまで自室で仕事をしていると。
ドサッ! と、落ちる音がした。
驚いて、幸弥は仕事の手を止め様子を見に行った。
すると。
階段の下で転んで泣いている涼子がいた。
「涼子! どうしたんだ? 」
幸弥が駆け寄ると、涼子は痛みで泣いていた。
「大丈夫か? 涼子」
「痛い・・・痛いよ! 」
状況から見て、階段から落ちたようだ。
「どこが痛い? 」
「足・・・痛くて動けない・・・」
泣きながら涼子が言った。
「とりあえず病院に行こう、ちょっと待ってて」
幸弥は車で涼子を病院に連れてゆく事にした。
光友総合病院。
深夜にも関わらず、バタバタとしていて患者も多くいる。
順番待ちする事2時間近く。
ようやく順番が回ってきて涼子が診察してもらえたのは、深夜1時を回っていた。
研修医らしき男性医師が担当して、レントゲンをとった結果。
涼子は右足を骨折してた。
左足の脛部分と足首を骨折しているため、2週間入院する事になった涼子。
ギプスて固定されていて、身動きが取れない涼子に、幸弥は一晩付き添う事にした。
明日は仕事がある為、茜に連絡して、昼間は交代してもらう事になった。
「お父さん、ごめんなさい。お仕事大変なのに」
涼子が申し訳なさそうに謝ると、幸弥はそっと頭を撫でた。
「心配しなくていいよ、昼間はおばあちゃんが来てくれるから大丈夫。ここの所、涼子とゆっくり過ごせなかったからね。2週間くらい、ゆっくり過ごしてもいいと思うよ」
「有難うお父さん」
コンコン。
「失礼します」
担当した男性医師がやって来た。
「痛みはありませんか? 」
優しい男性医師が尋ねると、涼子はこくりと頷いた。
「しばらく痛みが強いと思いますので、痛み止めを処方しておきます。一度飲んだら、3時間以上は間を開けて下さい。明日の朝、担当医師が来ますので、またご挨拶に伺います。今夜は、ゆっくり休んで下さい」
「担当の先生は、どなたですか? 」
幸弥が尋ねると、男性医師は枕元に担当医師の名前が入ったプレートを付けた。
その名前を見て、幸弥は驚いた目をしたが、すぐさま嬉しそうに微笑んだ。