セカンドラブは魔法の味
「だってね、怪我は痛いけど。とっても嬉しいの、久しぶりにお母さんに会えたから」
「お母さん? 」
「そう、春子お母さん。とっても幸せそうに、笑っていたの」
「お母さんが笑っていたの? 」
「うん」
茜はきょんとしていたが、すぐに笑った。
「そうなんだ。良かったわね、お母さんに会えて」
「うん。ねぇ、おばあちゃん。お父さん、そろそろ再婚してもいいよね? 」
「再婚? お父さん、誰か好きな人が居るって言っていたの? 」
「まだ言ってないけど、解るの。きっと、お父さんはあの先生の事好きだよ」
「先生? 」
「そう、とっても素敵な先生だよ」
涼子と茜が楽しそうに話している頃。
心優は屋上で休憩していた。
タバコを吸いながら、遠くを見ている心優。
ぼーっとしている心優だが、あれからずっと幸弥の事が気になっていた。
(からかってんじゃねぇよ! )
なんて、言ったものの。
二度と会う事もないと思っていたが、涼子を通してまた幸弥とは嫌でも会う事になってしまった。
2週間過ぎたら、もう会う事もないだろう。
担当医って言っても、経過を見るだけだし必要意外の事は話もしないから。
そう思う中、何故か心優は胸がキュンと痛んだのを感じた。
「何なんだよ。・・・どうしろって言うんだよ。・・・助けてあげれなかった事、恨んでいるんだろう? 」
遠い目をして心優はため息をついた。
灰皿でタバコをもみ消して、心優はそろそろ戻ろうと歩き出した。
すると。