セカンドラブは魔法の味
5
「申し訳ありません。うちの事務員が、とんでもない無礼な事を言ってしまって」
「・・・別に・・・本当の事だから・・・」
「いいえ、貴女は全然、醜く何てありません。とても綺麗な心の持ち主です。私の妻も喜んでいます。もしかして、いつもお参りしてくれてていたのは。貴女だったのですか? 」
「・・・そんなんじゃ・・・」
俯いて、押し黙ってしまう心優。
幸弥は真子を見た。
「すぐに帰ってくれ、二度と顔も見たくない」
「先生、なんで? 私は本当の事を言っただけじゃない。そんな女・・・」
「この人は。ハルを助けてくれた人だ」
「え? 」
「最後まで、誠心誠意尽くしてくれた。・・・だから、ハルはすごく安らかな顔をしていた。最後に言った言葉を、やっと思いだしたよ・・・」
幸弥はお墓を見て、そっと微笑んだ。
「ねぇハル。最後に、ハルは言ったよね「先生、有難う」って。消えそうな声だったけど、そう言ったよね? 」
幸弥は満足そうに頷いた。
真子はもう何も言えなくなり、その場から去って行った。
心優も帰ろうとしたが、幸弥が引き止めた。
「行かないで下さい。もう、僕の事1人にしないで下さい」
「な、何を言っているの・・・奥さんの前で・・・」
「ハルの前だから。ちゃんと言いたいんです。貴女の事を、これからは愛してゆくと」
「な・・・」
驚いている心優をそっと見つめて、幸弥は微笑んだ。