セカンドラブは魔法の味
「貴女が、僕を突き放す理由が分かりました。そして、貴女の中にハルがいる事も分かります。その事で、ずっと貴女は自分を責めて苦しんできた。だから、もう終わりにしたいんです」
「終わりにって? 」
幸弥は心優の手を握って、そっと目を閉じた。
「・・・12年前。怪我をしたんですね。その時、ハルに輸血してもらったのですか。・・・偶然通りかかったハルが、貴女を助けて。同じ血液型だったからですね。・・・貴女はまだ、医大生だった・・・」
「何言っているの? なんでそんな事・・・」
「ハルが教えてくれましたよ、今ここで」
「はぁ? 」
「ハルは貴女に輸血して、嬉しかったと言っています。まさか、その2年後に貴女がハルを助ける為に再会するとは思ていなかったようですよ。・・・貴女が「必ず助ける」と言ってくれて、それだけでとっても嬉しかったと言っています」
心優は驚いてポカンとした顔をしている。
話したこともない事を、幸弥が知っている。
しかも、言葉の1つ1つまで・・・
本当に、教えてくれたの?
心優はお墓を見つめた。
「これでよく分かりました。貴女がずっと、自分を責めて苦しんでいたのは。貴女の中にハルの血が入っていたからですね? だからハルが亡くなってしまって、全てを自分に向けて責めていただけですね」
「・・・でも実際、そうだし・・・」
「違います。ハルは、自分で決めて来た人生を全うしただけだと言っています。だから、貴女のせいではありません。もう、そのことはここで終わりしませんか? 」
「何言っているの? 終わらせれるわけねえじゃん! あんたの奥さん、実際に死んでいるじゃん! 」
「そうです。でも、貴女せいじゃありません」
「なんで? ・・・もっと、一緒にいたかったでしょう? ・・・愛していた人なのに・・・もっと一緒にいたかったでしょう? 」
すっと・・・心優の頬に涙が伝った。
その涙を見られたくなく、心優はそっと顔を背けた。
「貴女は、本当に優しい人ですね。そんなに、ハルの事を想ってくれていたんですね? 有難うございます」
幸弥はそっと、心優を抱きしめた。